フェラーリの聖地、モデナとマラネロ。
ここはフェラーリファンにとって特別な場所であり、歴史と情熱が詰まった博物館が存在する。
フェラーリの歩みを肌で感じられるこの場所では、クラシックカーから最新モデルまでが並び、創業者エンツォ・フェラーリの哲学が今も息づいている。
今回はそんなモデナとマラネロのフェラーリミュージアムを実際に訪れ、その魅力をレポートする。
ちなみに、YouTubeでも詳細なレポートを公開しているので、そちらもぜひ合わせて見てみてほしい。
まずはフェラーリ発祥の地モデナへ
まず向かったのはモデナの鉄道駅。
フェラーリの創設者であるエンツォ・フェラーリの出身地であり、フェラーリの発祥の地。
モデナはエミリア・ロマーニャ州に位置する人口18万人ほどの県。
ボローニャから鉄道で約30分ほどの距離にあり、鉄道駅もあるので比較的アクセスしやすい場所に位置している。
このあと向かうマラネロもモデナ県の中に位置している。
ちなみにモデナ県はフェラーリのほかにもマセラティ、パガーニなどが拠点を構えており、自動車産業が盛んだ。
そして駅から歩くこと約10分、最初のフェラーリ博物館に到着。
ここが「ミュゼオ・エンツォ・フェラーリ」。
エンツォ・フェラーリの父であるアルフレッドの鉄道部品工場やエンツォの生家があった場所。
入場料は正規の値段でも時期によって変動する。
私が訪れた2024年5月は大人27ユーロだった。
私は知らずに単体で購入してしまったのだが、このあと紹介するマラネロのミュージアムとセットで購入すると割引価格で購入でき、10ユーロ以上安くなる。
訪れた当時はかなりの円安で1ユーロ170円ほどだったため、下調べの甘さを後悔した。
ちなみにチケットは公式サイトから購入可能。
早速入場。
ミュゼオ・エンツォ・フェラーリは大きく分けて2つの建物で構成されていて、片方のレンガ調の建物はアルフレッドの工場の外観を再現している。
メインの展示エリアでは若き日のエンツォがお出迎え。
メインの展示エリアでは時期によって展示のコンセプトが変わるようで、私が訪問したときは「Ferrari One of a Kind」と題して様々なワンオフフェラーリに焦点を当てた企画展を開催していた。
そのため、展示車両は貴重なワンオフモデルをたくさん見ることができた。
会場ではこれまで一般公開されてこなかったモデルも多数展示されており、フェラーリファンならずとも必見の展示となっていた。
また、会場では数十分おきにエンツォの生涯とフェラーリの歴史を振り返るムービーが上映されていた。
別館ではフェラーリの歴史を感じる事ができる資料や、エンジンの展示が中心。
ほかにも、跳馬エンブレムの変遷や、エンツォの執務室を再現したスペースもあり、ファンには興味深い展示内容となっている。
そして、この日こちらの博物館では唯一のF1マシンを発見。
2003年のフェラーリF2003GAだ。
フェラーリ黄金期のチャンピオンマシンとは思えないくらい無造作に置かれていた。
日本にいるとホンダ、トヨタ系であればイベントや展示などでこの時代のF1マシンを間近で見る機会はあるが、フェラーリとなるとなかなかお目にかかれない。
このマシンも当時は最先端の空力デザインだったが、今見返すととてもシンプルに見える。
それだけ、F1の空力デザインが常に進化している証拠である。
また、このスペースでは年代ごとのF1エンジンも展示してありこちらも興味深かった。
フェラーリの街マラネロへ
そして次に向かったのがフェラーリの本社や関連施設が密集する街、マラネロだ。
マラネロはモデナ県の南側に位置しており、周囲に鉄道駅がないため、公共交通機関を使う場合はバスかタクシーを使うことになる。
今回はモデナ駅付近のバスターミナルから路線バスに乗った。
そこからおおよそ20~30分ほどの距離だ。
フェラーリ本社前のアベトーネ・インフェリオーレ通りで下車。
これがフェラーリ本社の正門。
この佇まいは設立当初からほとんど変わっていない伝統の場所だ。
正門前のT字路を曲がるとその先にはフェラーリのレース部門、スクーデリア・フェラーリのファクトリーがある。
F1もスポーツカーもモータースポーツ関連の業務は基本的にここで行われているようだ。
この日はイモラ・サーキットで行われるF1エミリア・ロマーニャGPの直前だったこともあってか、門の前には熱心なティフォシたちが誰かの出待ちをしていた。
そして、そのままスクーデリアのファクトリーを抜けると、次の博物館が見えてくる。
ここがフェラーリ本社前に隣接する「ミュゼオ・フェラーリ・マラネロ」だ。
この博物館の目玉はなんといっても歴代のF1マシンが集まった展示コーナー。
展示されるマシンは定期的に入れ替わるようですが、これだけの歴代のフェラーリF1マシンが一度に見れる機会はなかなかないであろう。
私が訪れたときはミハエル・シューマッハ在籍時代のマシンが中心だったが、興味深かったのがこの一台。
ミケーレ・アルボレートが惜しくもタイトルを逃した1985年の156/85だ。
フェラーリ1000レースを記念した2020年のSF1000の姿も。
PU規定以降、F1マシンのサイズはどんどん大きくなり、先程の80年代のマシンとの車格の差に驚かされる。
壁面にはフェラーリがF1で獲得した歴代トロフィーが所狭しと並んでいた。壮観だ。
もちろん、この博物館ではF1以外の見どころもたくさんある。
車ファンにおすすめしたいのは、フェラーリの歴代スペチアーレモデルが集結したスーパーカーコーナー。
288GTB、F40、F50、エンツォ・フェラーリ、ラ・フェラーリなど、これだけのスペチアーレが一度に見れるのは圧巻だ。
そして、フェラーリの歴史を語る上では欠かせない、スポーツカーレースの歴代マシンも多数展示されている。
初めてフェラーリの聖地、マラネ2ロ・モデナを訪問し、2つの博物館を見学したが、存分にフェラーリの魅力や歴史を感じることができた。
フェラーリファンならずとも、車、モータースポーツが好きな方であれば最高の思い出になる場所だ。
主要都市から離れたモデナ・マラネロは少し行きづらい印象があるかもしれないが、イタリアに訪れた際はぜひ訪れてみてほしい。